人を迎えるとき、心地よくくつろいでもらうことを想い、身の回りをととのえます。いけ花は、そんな「おもてなしのこころ」を趣き深く表すのにぴったりです。
当流のいけ花は、「書院花(しょいんばな)を旨として、花体はその自然の姿である「出生」に背かないように生けることを本意とします。
書院花とは、おもに書院造りの座敷・床の間に生ける花を指します。現代ではお座敷や床の間がない住まいも多いでしょう。
いけ花は、その時代の人情・世情・建築と密接な関係があり、生活に調和したものが理想です。季節・場所や雰囲気など、その時に合った花を生けます。
普段はもちろん、生活の節目・・・たとえば五節句・お正月・追善の花。また玄関先でお客様を迎える花、パーティーで華やかさを醸し出す花など、自分で生けることができたら素敵ですね!
遠州流のいけ花は、生花・投入花(瓶花)・盛花に大別されます。
‟花を生けることは「いかす」ことであり、よみがえらせることである″
‟一期一会の花のいのちをいかに活かすか″
これらの言葉を心の道として、花と向き合うことを大切にしています。
心(天)・留(地)・扣(人)の三才を以って基本とし、十七からなる役枝の表現により様々な花体「本勝手型・逆勝手型」に展開されます。
流麗な線の美しさと優雅さ、その花材の出生の趣きを尊重し、その特徴を最大限引き出すように・・・心をこめて生けることを大切にします。
草木の出生(自然の姿)にしたがい、時により用捨の働きを用いて、時節の本体を取り入れます。
陰陽和合を心得、伝統の花形を守り、時には詩歌の趣きを心がけ、生けることが肝要であると伝えています。
自由な生け方の中にも、生花の役枝を基本として、一定の型(傾斜体・半懸崖体・懸崖体)に従って生けます。
花瓶の口から斜めに倒して、変化を求め自然の有様を豊かに表現して生けます。
山野に自生する草花を、自然の美を、器の中に再生します。
出生を重んじ、野にあるもの・山にあるもの・水中にあるものを区別して生けます。
生け方には、傾斜体・偏心体・株分体・身籠体・露水体などいろいろな形があります。
また、盆花・果物盛などの生け方が定められています。
このように、四季の変化に応じて、自然の有様を豊かに表現して生けます。